職人向け/2026.09.03/職人ナビ編集部
全部に入る必要はありません。ただ、順番はあります。上から二つは、独立したその月に手を打っておくものです。
一、一人親方労災保険(最優先)
何のため:自分が現場でけがをしたときの治療費と、働けない間の補償。
会社勤めのときは会社が入っていました。独立すると、自分で特別加入しないと何もありません。高所からの落下、工具でのけが、腰の故障。どれも職人には現実の危険です。治療費が全額自己負担になり、その間の収入も止まります。
入り方:一人親方の団体(労働保険事務組合)を通して加入します。建設業の組合、職種別の団体などが窓口です。費用:補償の日額をいくらにするかで変わり、日額5,000円の補償なら月2,000円前後からが目安です。入会金と組合費が別にかかることがあります。
元請けの現場に入るときは加入証明を求められることがほとんどなので、仕事を取るためにも必要です。
二、賠償責任保険(お客様への備え)
何のため:お客様の物を壊した、けがをさせたときの賠償。
水を止め忘れて階下を濡らした、運搬中に壁をぶつけた、といったときに使います。個人で背負うには大きすぎる金額になることがあります。マンションの階下漏水は、内装のやり直しで数百万円になる例もあります。
入り方:損害保険会社の「請負業者賠償責任保険」、職人の団体や商工会の共済など。費用:補償1億円で年3〜6万円が目安です。団体経由だと安くなることがあります。
三、健康保険をどうするか
会社を辞めると、選択肢は三つです。
- 国民健康保険。市区町村の窓口へ。前年の所得で保険料が決まるので、独立した年は前職の給与で計算され、高くなることがあります。
- 建設国保(建設業国民健康保険組合)。建設業の人が入れる組合の健康保険です。所得ではなく年齢と加入区分で保険料が決まるため、所得が上がっても保険料が変わりません。稼ぐ人ほど有利になることが多く、建設業なら検討する価値があります。
- 前の会社の健康保険を任意継続。退職から20日以内の手続きが必要。最大2年間で、保険料は全額自己負担(会社負担分がなくなるため、およそ2倍)になります。
独立した年は、この三つを比べてから決めてください。年間で十万円以上変わることがあります。
四、年金
会社の厚生年金から国民年金に変わり、将来受け取る額が下がります。埋めるなら、国民年金基金かiDeCo(個人型確定拠出年金)です。どちらも掛金が全額所得控除になるので、節税にもなります。余裕が出てからで構いませんが、早く始めるほど有利です。
五、仕事が止まったときの備え
一人親方には雇用保険(失業給付)がありません。けがや病気で長く休むと、収入がゼロになります。所得補償保険や小規模企業共済(廃業時の退職金がわりになり、掛金は全額所得控除)が備えになります。小規模企業共済は月1,000円から始められます。
まとめ
| 順番 | 保険 | 費用の目安 | 備え |
|---|---|---|---|
| 1 | 一人親方労災 | 月2,000円〜 | 自分のけが |
| 2 | 賠償責任保険 | 年3〜6万円 | お客様の損害 |
| 3 | 健康保険(建設国保など) | 月2〜3万円 | 病気・けが |
| 4 | 年金の上乗せ | 任意 | 老後 |
| 5 | 所得補償・小規模企業共済 | 月1,000円〜 | 休業・廃業 |
金額は加入先や年齢で変わります。加入の前に、複数の窓口で見積もりを取ってください。